畳の原料で選ぶならやっぱり熊本のい草がいい?そこに突如現れた和紙の畳の裏事情とは

 

昔は、畳替えというと畳の表面に張られている畳表(タタミオモテ)の原料はい草が主流でした。原料を栽培する産地もたくさんあり、今の熊本を凌ぐ勢いさえあった産地もあったほどです。

やがて畳も進化していき、和紙や合成樹脂を原料にした畳表も登場して選ぶラインナップが増えた反面、い草にしようか?和紙にしようか?迷ってしまう場面も・・・

そこで今回は畳の原料であるい草と和紙について解説させていただきます。

畳の原料の産地で熊本は聞いたことあるけど他にはないの?圧倒的シェアNo. 1に輝いたのは?

畳の表面に張られている畳表(タタミオモテ)の原料になるい草は、国内では熊本・福岡・広島・岡山・高知・石川などの地方で栽培されています。

その中でも熊本・福岡が主な産地となっていて、特に熊本の作付面積が圧倒的に多く国内の93%を占めています。

一方で日本の産業技術を受け継いだ形で生産を開始したのが中国産の原料です。国内では約80パーセントのシェアを持っており賃貸や普及品として使われていましたが、最近では質のいい物では一般住宅に使われるなど価格の安さ以外にも品質を高めてきました。

 

やっぱり天然のい草がおすすめ!?産地によっては市場に出回らない訳とは

畳表の原料として使われるい草は農作物なので、産地や農家さんの栽培方法によって違いが出てきます。ここでは国内6つの産地の原料の特徴と、中国産についてご紹介いたします。

熊本県(肥後表)

着色剤の使用を禁止しているので色調がそろっていて、厚くい草を織り込んでいるためにキレイで丈夫です。標準品から高級品まで幅広く豊富な品揃え。さすがに国産シェア9割を超えているだけあります。

福岡県(筑後表)

い草はやわらかく太いい草の均一性に優れています。熊本と比べても遜色がなく、ブランドの原料については新しい需要を掘り起こしています。

広島県(備後表)

表皮が厚く、粒がそろっていて光沢があり青味がかった銀泊色に定評があります。耐久性にも優れていて、最高級品として有名ですが、ほとんど産地でい草を栽培しておらず他県産の原料で織り上げています。

岡山県(備前表)

い草は広島と比べてやや太く、草質のムラが少なく均一に退色するので焼けムラが少ないです。2000年にい草農家さんがゼロになり備前表は途絶えてしまいましたが、ボランティアを中心にい草栽培の伝統と技術を復活させようと頑張っています。

高知県(土佐表)

草丈が長く粘りがあるので、良質のい草として評価が高です。土佐表のオリジナルブランドとして龍馬表はあまりにも有名です。

石川県(小松表)

独自の光沢があり足あたりよく、強靭で丈夫です。寒冷地に適していることから石川県を中心にほとんど地産地消となっています。

中国産

現在の栽培地は寧波・上海・蘇州などで、日本企業が生産・品質の向上に関わってきたことから、昔に比べて国産と変わらないレベルまで達しているものも出てきました。

 

豊富なカラーバリエーションならインテリアに合わせやすい和紙の原料が畳には最適?

近年、メーカーの宣伝もあってか需要が増えているのが、和紙を原料にしている畳表です。国産のい草の供給量が減少していくなか、工業的に安定した畳表を目指して開発されました。

機械すき和紙を着色して上の画像のようにい草に似せたこよりにして織り上げた畳は、変色しにくく清潔感があり、色も青やピンクなど豊富にそろっているのでインテリアなどに合わせやすいです。

和紙を樹脂コーティングしているために撥水性が高く、何かこぼしてもすぐに拭けば染み込むこともありません。

良いことばかりの和紙畳ですが、い草を使っていないために香りはなくクッション性も固い感じです。また日焼けしにくいのが逆に仇となり、汚れが着いたときは目立ってしまうというデメリットもあります。

 

まとめ

畳の原料にはい草を使った農作物系と、和紙を樹脂コーティングした工業系があることがお分かりいただけたと思います。

今、生産性の向上や合理化などで住宅から自然の原料が少なくなってきています。家のどこかにワンポイントい草のような自然の素材を入れてみるのも良いかもしれません。

このブログが参考になっていただけたら幸いです。